事故の過失割合が有利に変更させ、兼業主婦の主婦休損全額を認定させた事例
事故の過失割合が有利に変更させ、兼業主婦の主婦休損全額を認定させた事例
事故態様 | 原付バイクで直進中にガソリンスタンドに入ろうとした左折車に巻き込まれた事故 | |
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事例の特徴 | 過失割合、休業損害、主婦休損 | |
属性 | 60代、女性、兼業主婦(パート) | |
症例・受傷部位 | 恥骨骨折、左肘頭骨折、左肘関節内骨折 | |
後遺障害等級・死亡事故 | 非該当 | |
主な損害項目 | 受任前 | 受任後 |
休業損害 | – | 約81万円 |
傷害慰謝料 | – | 約135万円 |
既払い除く支払額 | – | 約176万円 |
治療費等を含む賠償総額 | – | 約184万円 |
交通事故の状況 | 大阪市住之江区において、原付バイクで道路左側を直進中、道路左側にあるガソリンスタンドに入ろうと左折した普通乗用自動車の前部と、原付バイク左後方部が接触し、転倒した事故。 | |
ご依頼内容 | 物損示談前に相手方保険会社から過失割合が2:8だと主張されていることに納得がいかず、ご相談にこられてご依頼となりました。 | |
対応内容と成果 | 依頼者によると、相手方車両は左折前に方向指示器を点灯させていなかったとのことでした。
相手方保険会社はそういった事情が無い前提で、通常の左折巻き込み事故の過失割合である2:8を主張していたため、実況見分調書などの刑事記録を取り寄せて精査し、過失割合の交渉にあたりました。 その結果、過失割合について1:9とすることを交渉で認めてもらいました。 また、治療終了後の人身損害の示談の際、相手方保険会社は依頼者の前年のパート収入を基準にして休業損害を算定すべきと主張しましたが、依頼者がフルタイムのパートではないこと、主な収入を得ているのは同居の別の家族であることなどを示し、全年齢の女性の平均収入を基礎年収として算出した主婦としての休業損害の満額を認めてもらいました。 |
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総括・コメント | お怪我の治療が一定期間続く場合、治療の終了を待たずに先行して物損の示談をすることが通常です。
その際に、大して金額が変わらないからといって相手方主張の過失割合を前提として示談してしまうと、治療が長引いた場合の慰謝料などの人身損害の賠償額が大きく減ってしまうことがあります。 例えば、保険会社が先行して支払う治療費等が100万円、示談後に受け取る慰謝料等が100万円だとした場合、過失割合が1割変わることで20万円の違いが生まれますので、1:9の場合に80万円受け取れる示談金が、2:8となれば60万円になってしまいます。 過失割合は相手方任意保険会社に全額を立て替えてもらえる治療費なども含めた全体の損害額に対して計算されるためです。 そのため、物損の示談の際でも過失割合に納得がいかない場合は安易に示談に応じるべきではありません。 生計を主に支える同居家族がいて、パートなどの仕事をしつつも家事に従事しているいわゆる兼業主婦の方の場合は、実際の収入より平均賃金の方が高ければ主婦休損を主張することができます。 この主張をしなければ、相手方保険会社も気が付かずに実際の収入を基礎とした計算をしてしまいますし、本件でも弁護士から主張することで平均賃金から算出された休業損害の全額を認めてもらうことができましたので、家事もこなしている方が交通事故の被害に遭われた場合は専門家に相談されることをお勧めします。 |